サティヤ サイ ババとは
1)サティヤサイババの教え
「私は神です。あなた方も神です。私とあなた方の唯一の違いは、私はそのことを知っていますが、あなた方はそのことを全く知らないことです。」
― サティヤ サイ ババ
これはサティヤ(* 1) サイ ババが自らの真実の姿と神性について人々が尋ねた時に与える答えです。この人間の神性という根源的な真理は、ババのメッセージの中心を成しています。実際、講話では、ババは人々に向かって「神性アートマの化身である皆さん」と話しかけます。ババの純粋かつ無私の愛を体験し、その啓発的な助言の恩恵により、ババの奇跡的な天性を目撃した人々は皆、神の栄光と荘厳さを垣間見ます。そして、それゆえ、人は自分が潜在的かつ本質的に神であるということに気づかされるのです。
また同時に、サイ ババのもう一つの大切な教えは、人間的価値(ヒューマン バリューズ)に関するメッセージです。人間的価値とは、ヴェーダ(* 2)(天啓経典)やウパニシャッド(ヴェーダの奥義書)などで述べられている至高の叡智そのものであり、あらゆる霊性(* 3)の師による神の教えの本質です。それは、真実(サティヤ)(真理)・正義(ダルマ)・平安(シャーンティ)・愛(プレーマ)・非暴力(アヒムサー)の五つのことで、これらを総称して五大価値と呼びます。これらすべては、私たちの本質である愛を基盤にしたものであり、愛の別名でもあります。その意味では愛こそが私たちを導く光であり、サイ ババの教えの中核を成すものといえるでしょう。
*1 「サティヤ」とは真実(真理)を、「サイ」(サーイー)は神聖にして母なる神を、「ババ」(バーバー)は父を意味します。
したがって、サティヤ サイ ババとは、私たちの「真の母父」という意味です。
*2 ヴェーダの詠唱の伝統は、2009年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。
*3 サイ ババの説く「霊性」とは、万物に内在するアートマと呼ばれる同一の神性のことをいいます。「霊」とは、そのアートマそのものを指しています。
2) サティヤ サイ ババのアヴァター宣言
サティヤ サイ ババは、南インド、アーンドラ プラデーシュ州のプッタパルティという村に、1926年11月23日にサティヤ ナーラーヤナ ラージュとして生まれました。ラージュの霊性と思索的な性格は、他の同年代の子供とは、かけ離れていました。ラージュは、村の同輩や他の人たちの間では「グル」(導師)や「ブラフマ グニャーニ」(神を知る者)と呼ばれていました。
そして、1940年10月20日、ラージュは初めて、自分は神の化身(アヴァター)であり、シルディ サイ ババ(1838年9月27日~1918年10月15日)の生まれ変わりである、という歴史的な宣言(アヴァター宣言)をしました。これ以降、世界中にサティヤ サイ ババの神の御業(みわざ)が知られるようになりました。
今日、世界中の、さまざまな信仰を抱く、さまざまな国の数え切れないほどの人たちが、サティヤ サイ ババを崇拝しています。
3) サティヤ サイ ババ降誕の目的
サイ ババは自らの降誕の目的について、「崩壊してきた正義を世界に復興させ、また、神へと到るいにしえの王道を修復するために来た」と語っています。それはご自身の言葉でこう語られています。
「このサイは、人類全体を一つの家族として同胞愛という絆でつなぐこと、宇宙全体が支えられている基盤である神性を明らかにするために、万物のアートマ真理(真我)を断言し光を照らすこと、そして、人が動物のレベルから脱却して神へと至るというゴールに到達することができるよう、人と人を繋ぐ共通の神聖な遺産を認識するようすべての人に教えること、という究極の任務を達成するためにやって来ました。」
― サティヤ サイ ババ
サティヤ サイ ババは、二つの重要な役割を担う、完全な神の化身(プールナ アヴァター)です。
第一に、ババは偉大な霊性の師であり、世界中のすべての宗教の根源的な教えの根本を成している最も偉大かつ最も難解な霊的真理を、わかりやすく、やさしく明らかにすることで、よく知られています。バガヴァンは、その使命に関する説明をした時に、こう宣言しています。
「私は何らかの教義を破壊し妨害するために来たわけではなく、キリスト教徒がより良いキリスト教徒になれるよう、イスラム教徒がより良いイスラム教徒になれるよう、また、ヒンドゥー教徒がより良いヒンドゥー教徒になれるよう、それぞれが各自の信仰を確かなものとするために来たのです。」
― サティヤ サイ ババ
人が意義のある人生を送れるようにとババが説く基本原則は、真実(サティヤ)(真理)・正義(ダルマ)・平安(シャーンティ)・愛(プレーマ)・非暴力(アヒムサー)という五大価値です。これが、この病める世界に対するババの処方箋(しょほうせん)なのです。
第二に、ババは純粋な愛の尽きることなき宝庫というべき存在です。無料の病院、無料の学校や大学、無料の飲み水の供給、あるいは無料の家屋の提供といった、ババの数え切れないほどの奉仕活動のすべては、インドの貧しい人々や恵まれない人々へのババの無私の愛と思いやりの証しとして存在しています。ババの宣言どおり、「私の人生が私のメッセージ」なのです。
人への奉仕は神への奉仕であるという理想を生きる、という手本を自ら示すことによって、ババは世界中の数え切れない人々を鼓舞してこられ、また今も鼓舞し続けています。今日、サティヤ サイ国際オーガニゼーションは世界126カ国にあり、会員たちは身近な地域社会に貢献するためにグループでの奉仕活動を行っています。
御講話とメッセージ
サイ ババは、霊的な祝祭日などに、年に30回以上講話をしました。講話は、通常、サンスクリット語の詩の吟唱から始まり、人間として生きていくために大切な、真実(サティヤ)(真理)・正義(ダルマ)・平安(シャーンティ)・愛(プレーマ)・非暴力(アヒムサー)という五つの価値観に基づいた深淵(しんえん)な霊的原理を、インドの聖典であるヴェーダやシャーストラ、インドの古代叙事詩『ラーマーヤナ』に示されたラーマ王子の物語、『バガヴァッド ギーター』に示されたクリシュナの教え、あるいは聖者や賢人や偉人の物語などを引用しながら、わかりやすく説法しました。
講話は非常にエネルギッシュで、聞く人にサイ ババの愛がひしひしと伝わります。サイ ババの愛に満ちた講話は、世界中の数限りない人々の心を神に向けさせ、道徳的生き方をするように変容させています。
講話の内容は、サティヤ サイ出版協会が発行する書籍、Webサイト、月間サイ メールマガジン、隔月誌サイラムニュースに、順次、日本語訳が掲載されています。
アーラーダナマホーツァヴァム
サティヤ サイ ババは2011年4月24日に肉体を離れ、葬儀は、インド国首相マンモハン・シン閣下、アーンドラ・プラデーシュ州知事ソニア・ガンディ女史、インド国民会議総裁をはじめ各界の要人や五大宗教をはじめとするさまざまな宗教の聖職者、数十万人の参列者のもとに国葬で執り行われました。インド国大統領プラティバ・パティル女史の追悼の辞では、サイババの生前の偉業である無料の学校や無料の病院の設立、灌漑プロジェクト(恵みの水)、人類の博愛と啓発活動に対する感謝の言葉が述べられました。
毎年4月24日はサイババへの感謝を表す日としてアーラーダナマホッツヴァムの日となっています。