サティヤ サイ ババの足跡
1) ダルシャン(「神の御姿を拝見する」という意味)
サイ ババは約68年間にわたって、ほぼ毎日、午前と午後の二回帰依者の前に現れ、帰依者にダルシャンを与えました。その際に手紙を受け取ったり、ときにはヴィブーティ(神聖灰)を物質化したりしました。このダルシャンによって、サイ ババは帰依者に限りない愛を注ぎ、帰依者を慰め、癒し、霊的向上に導きました。これこそサイ ババの無限の愛の証です。
2) インタビュー
サイ ババはダルシャンの際に自ら選んだ人々に対してインタビューの機会を与えました。インタビュールームでは帰依者の個人的な問題に対して回答やアドバイスを与えたり、霊的原理についてわかりやすく話したりしました。また、幸運な帰依者には指輪やネックレスなどを物質化して与えました。インタビューでは多くの人々が、サイ ババの愛の深さと、全知、全能、遍在の奇跡を経験し、サイ ババは神の化身であるという確信を強めました。
3) 講話
サイ ババは霊的祝祭日を含めて1年間に30回程、帰依者のために講話をしました。講話は、通常サンスクリット語の詩の吟唱から始まり、人間として生きていくために大切な、真実・正義・平安・愛・非暴力という五つの価値観に基づいた深淵な霊的原理を、インドの聖典であるヴェーダやシャーストラ、インドの古代叙事詩であるラーマーヤナに示されたラーマ王子の物語、バガヴァッド ギーターに示されたクリシュナの教え、あるいは聖者・賢人・偉人の物語などを引用しながら、わかりやすく説法しました。講話は非常にエネルギッシュで、聞く人にサイ ババの愛がひしひしと伝わります。サイ ババの愛に満ちた講話は世界中の数百万・数千万の人々の心を神に向けさせ、道徳的生き方をするように変容させています。講話の内容は、インドの サティヤ サイ出版協会で発行されている月刊誌「サナータナ サーラティ (SANATHANA SARATHI)」や書籍「サティヤ サイ スピークス(Sathya Sai Speaks)」(全42巻)に収録されています。
4) 教育
サイ ババは、子供たちが優れた人格と適切な道徳観、倫理観、霊的な視点を持ち、将来模範的な市民となるように、理想的な教育システムと施設を創設し、すべての教育が無料で受けられるようにしました。
まず、子供たちの柔軟な心が美しく花開くように、適切な道徳観、価値観を身に付けさせることを目的としたバル ヴィカス(子供のための霊性教育)を1969年にスタートさせました。
大学教育としては、1968年7月アナンタプールに女子学生のためのサティヤ サイ アート アンド サイエンス カレッジが、1969年6月ホワイトフィールドに男子学生のためのカレッジが、1979年7月プッタパルティに男子学生のためのシュリ サティヤ サイ カレッジがそれぞれ開学しました。1981年にサティヤ サイ インスティチュート オブ ハイヤーラーニング(SSSIHL)が総合大学として承認されると、同年プッタパルティとアナンタプールのカレッジがSSSIHL(通称サティヤ サイ大学)と改称しました。1982年にホワイトフィールドのカレッジも統合され、それぞれSSSIHLのブリンダーヴァン キャンパスとアナンタプール キャンパスとなりました。2011年にはムッデナハッリキャンパスも開学しました。この他に、地元の大学と提携している女子学生のためのサテイヤ サイ カレッジが、ジャイプールとボパールとブバネシュワールにあります。
小中高等教育としては、1972年にテルグ語で高等教育を行う全日制のイーシュワランマ ハイスクールがプッタパルティに開校しました。この学校は2009年に英語で全日制の初等教育を行うイーシュワランマ イングリッシュ メディウム スクールと改称しました。1981年にはプッタパルティに英語で小中高レベルの教育を行う全寮制のシュリ サティヤ サイ ハイヤー セカンダリー スクールが開校しました。
この他にも、サイ ババの教育理念に賛同する人々によって、サティヤ サイの名を冠した学校が世界中にたくさん創設されました。その数は、インド国内で80校以上、インド国外で40校以上あります。
これらの学校は、政府が定めたカリキュラムに従って一般教育を行うと同時に、道徳と霊性に関する教育も行い、卓越した人格を形成することを最大の目的としています。優秀な卒業生を輩出した現在では、人間の資質を開発する最も優れた学校として、世界中から注目を集めています。この真理・正義・平安・愛・非暴力という人間的価値を基盤とした普遍的な価値教育プログラムは、サティヤ サイ人格形成教育(SSEHV)と呼ばれ、現在多くの国々で一般の学校のカリキュラムに組み込まれています。
5) 医療奉仕
サイ ババは、インド全土で最も近代的な設備が整えられた病院であるスーパー スペシャリティ ホスピタルをプッタパルティに設立しました。この病院は世界の七不思議の一つとして賞賛されているタージ マハルに匹敵するほどすばらしいものです。この建物は、実に7ヶ月半という記録的な短期間で完成し、1991年11月22日の落成式典には、インド国首相P.V.ナラシムハ ラオ閣下(当時)が臨席されました。
この病院は、カーストや肌の色、宗教、宗派、国籍、経済状態に関わらず、すべての患者が心臓切開手術や腎臓移植手術、精密検査などを無料で受けられる世界で唯一の病院です。
開設当時は心臓血管科だけでしたが、後に泌尿器科、腎臓移植を含む腎臓病科、そして角膜移植を含む眼科、消化器科、整形外科が開設・運営されるようになりました。いまでは数千人もの貧しい患者が、優れた技術を有する評判の高い内科医や外科医の手による高度な治療の恩恵を受けており、受付から入院、そして治療食に至るまで、すべての治療に関する費用は無料となっています。
また、1993年2月、1994年1月、1995年12月の三回にわたって国際的な心臓病学のシンポジウムがここで開催され、多くの国から著名な心臓病学者や心臓外科医が出席しました。また、インド国大統領、厚生大臣、政府高官等も出席しました。このシンポジウムの主催者であるサイババは、会議の席上で、この病院の治療に関する指導的原理および原則を公表しました。2008年以降は毎年ここで国際的な医学会議が開催されています。
この他に、2001年1月にホワイトフィールドにシュリ サティヤ サイ インスティテュート オブ ハイヤー ラーニングが設立されました。これもスーパー スペシャリティ ホスピタルです。1956年に設立されたプッタパルティのジェネラル ホスピタル(総合病院)、1976年に設立されたホワイトフィールドのジェネラル ホスピタル、そして2006年から始まったモバイル ホスピタル(移動病院)、これら五つの医療施設が、サイ ババが創設したサティヤ サイ セントラル トラストによって運営されています。
この他にも、サイ ババの理念に賛同する人々によって設立されたサティヤ サイの名を冠する医療施設が世界中にたくさんあります。
6) 困窮した人々への奉仕
南インドのアーンドラ プラデーシュ州、アナンタプール地区に住む350万を超える人々は、過去40年にもわたって深刻な水不足に悩まされ、干魃と食糧飢饉に苦しんできました。飢えと渇きの中で死んでいく人々に対して、インド政府は決定的な対策を講じることができませんでした。1994年、生誕69周年記念日の前日、サイ ババは、慢性的な水不足の状態で暮らしている人々に飲料水を供給するプロジェクトを開始すると宣言しました。そして、総距離が日本列島の長さに達するほどの上水道施設を、工事開始から10ヶ月という驚異的な短期間に成し遂げてしまったのです。日本と異なり、通信施設や道路が十分に整っていない南インドの乾燥地帯で、このような短期間のうちに工事を完成させるのは奇跡的なことです。プロジュクトの完成式典は、サイ ババの生誕70周年記念日に行われました。
サイ ババは、「基本的な人間的生活を維持するために必要な資源をすべての人に供給することは社会の責任である」ということを自ら示しました。このように、サイ ババは自らの人生を、全くの無欲さと高潔さをもって人類への奉仕に捧げています。